覚悟はあるか

  • ニュース, 夕刊時評
  • 2020年1月6日

  年明け早々に恐縮だが、本腰を入れて考えなければならない状況になった。人口減少に伴う税収減や老朽化が進むインフラ対応など私たちの日常に直結する社会問題の話だ。苫小牧市はカジノを含む統合型リゾート施設(IR)を起爆剤にしようと誘致を進めていたが、道が先送りを決定。市が国際リゾート構想に掲げたもう一つの高級リゾートホテル計画も長期化する見通しで、構想そのものが後退した感は否めない。

   緩やかな縮小社会は暮らしをどう変化させるのか。以前、当欄で取り上げた元産経新聞論説委員の河合雅司さんが書いた「未来の年表」(講談社現代新書)からひもとくと、現状をイメージしやすい。その目次には▽2020年―女性の2人に1人が50歳以上に▽21年―介護離職が大量発生▽22年―「ひとり暮らし社会」が本格化、など近未来の予測が描かれている。続編の「未来の年表2」(同)では新たな課題が示され、すでに起き始めている出来事もあった。これらの問題に目を向けずとも、極めて深刻な状況がゆっくりと迫っているのは紛れもない事実だ。

   功罪や是非はともかく、IRはこの状況の一部を変える可能性があった。次回のIR候補地募集が行われたとしても、きっと7~10年先の話。この間、人口減少や少子高齢化は確実に進む。私たちは現実を受け入れ、立ち向かう覚悟が持てるかどうかの瀬戸際にいる。傍観していてはいけない。(隆)

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