自信は

  • ニュース, 夕刊時評
  • 2019年12月25日

  「自分の運転技能に自信ありますか?」。テレビから聞こえてきた問い掛けに、ドキッとした。高齢者の交通事故防止を考える特集を見た時のことだ。

   4月に東京で、6月には福岡市で乗用車の暴走事故があった。運転者は87歳と81歳の男性=年齢は事故当時=。東京では横断歩道の母と子、福岡では運転者と妻が死亡し、他に8人ずつが重軽傷を負った。暴走し衝突する車、引きちぎられた母子の自転車、両手につえを持って現場検証に立ち会う高齢の男性―。繰り返し放送される映像を見るたびに、怖くなる。

   遠い国の話ではない。数日前には札幌のガソリンスタンドで物損事故を起こした乗用車が国道に飛び出し走ってきた車と衝突した。運転者は70代男性。登別市では後退するはずの乗用車がコンビニに突入した。運転者は80代の男性。「高齢事故」は、実に身近だ。

   自分の運転する車の助手席に頻繁に乗る家人に聴いてみた。「運転が怖いと思ったことは?」。答えは、一応「ない」。スピードは出さない。信号や標識の見落としもない。一つ気になるのはハンドル操作だとか。片手運転のくせがあり、駐車や車庫入れの時「大丈夫かと思う」。大きな衝突はないが縁石に乗り上げたこと、自宅の生け垣にこすったことがある。

   運転を援助するための車の改良や、免許更新時の講習見直しの検討が進む。自分でできる点検がある。まず「運転に自信は?」(水)

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