様似町議会定例会で20日、交流促進施設「アポイ山荘」と関連施設の来年度の指定管理者を様似観光開発公社(資本金5000万円、社長・坂下一幸様似町長)とする町の指定議案が、反対多数で否決された。第三セクターの同公社はアポイ山荘と関連施設の運営だけが収益源だったが、赤字経営が続き、6000万円以上の債務超過に陥っていた。新年度からの山荘運営が途絶えるため、事実上、3月末で解散となる見通しだ。
1971年設立の公社は町が約6割を出資、97年に開設したアポイ山荘を町から委託を受け運営してきた。この3年間は指定管理者として、年2100万円の管理者料を受けてきたが、抜本的な経営改善につながらずにいた。来年3月末で3年間の指定管理者期間が終了する。最近は「債務がこれ以上膨らむのは危ない」という雰囲気が高まり、議会からは公社以外による運営を求める声が強まっていた。
さらに、来年度から3年間の再指定はおろか、期限を縮めた2年間の町指定案にも過半数の議員が反発。町は、来年度末の公社解散を想定した公募による指定も視野に、来年度1年間限りの指定案を提出したが、議長を除く反対6、賛成3で否決された。
公社は例年、資金繰りが悪化する冬期間に次年度の指定管理料を担保に金融機関から借り入れをしていた。町は「このままでは年内に資金ショートし、年を越せなくなる」(坂下町長)とし、来年3月までの経営支援策として1500万円の補正予算案を提出し、全会一致で可決された。
すでに新年度分の予約を受けているアポイ山荘については、4月以降の運営を誰が担うかや、公社資本金の取り扱いなど課題は山積みだ。