▶6 地方紙の使命

  • 特集, 記者ノート2019
  • 2019年12月21日

  昨年8月に入社し、紙面レイアウトなどを担当する部署で業務を行っていたが、今年6月の異動で報道記者に。知識、経験共にゼロからのスタートとなったがこの約半年で市政、教育、事件、事故、まちの話題とあらゆる取材をさせてもらった。

   振り返ると、8月に安平町で開催された復興応援お笑いライブの取材が印象に残る。テレビでおなじみのお笑い芸人にインタビューできたうれしさもあるが、現地では地方紙記者としての使命を再認識させられる出来事があった。

   イベントは昨年9月に発生した胆振東部地震の復興にちなんだもので、会場には道内外のテレビ各社がずらり。圧倒されつつ開始まで待機していると、イベント関係者から「マスコミ代表で苫民さんにインタビューをお願いしたい」との相談が。復興応援がコンセプトであるため、地元メディアからの質問が欲しいとのことだった。

   記者歴わずか2カ月の新人に与えられた重大任務。相手は3組のお笑い芸人で、中には「欧米か!」のフレーズで全国区の人気を誇るコンビもいた。これまでにない緊張に襲われたことは言うまでもない。

   地方紙の記者として、相手からどのようなコメントをもらうべきか。被災者にとってうれしいのはどんな質問なのか。少ない経験の中で必死に考えて安平、厚真、むかわの被災3町へのメッセージがもらえるような質問を二つほどして、取材は何とか終了した。

   地域密着で情報発信を続ける地方紙の記者だからこそ手にできた貴重な機会。イベント関係者や出演者が望んだ通りの質問ができたかどうかは分からない。ただ、大手メディアとは異なる場面で地方紙が必要とされていると実感できた出来事だった。

   地元ならではの視点で小さなニュースを拾い上げ、より深く、より詳しく掘り下げていくことが使命と考え、日々奮闘している。

          (小玉凛)

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