白老中学校の1年生が観光をテーマにした総合学習で「白老観光マップ」を作成した。生徒らが観光客の目線で町内の魅力ある店や場所を選定、取材した内容をマップにまとめた。600部作り、取材先など各所に配布し、観光客に活用してもらう。
白老町では、来年4月の民族共生象徴空間(ウポポイ)開業に伴う観光客の入り込み増が期待されている。国も観光を経済成長の重要な柱に位置づけており、観光のまちづくりに取り組む自治体も多い。
こうした中で白老中は今年度、郷土について考える1年生の総合学習「ふるさと教育」で観光を扱うことにし、「観光客のまなざしで白老町を見よう」をテーマにした教育活動を展開した。
授業では北海道大学大学院国際広報メディア・観光学院の清水賢一郎教授(観光創造)を招き、「地元の日常は観光客にとって非日常であり、見慣れた風景や店が観光資源になる」という視点を学習。それを踏まえて64人の生徒たちは、観光資源となり得る場所を選定し、18グループに分かれて取材活動に取り組んだ。取材に協力した店主らの地域活性化に対する熱い思いにも耳を傾け、観光マップを仕上げた。
カラー印刷のマップはA3サイズ。白老の歴史が学べる仙台藩白老元陣屋資料館、アーティストの活動拠点・飛生アートコミュニティー、軽種馬牧場の美しい風景が目を引く白老ファーム、お薦めの喫茶店や白老牛の飲食店、人気の菓子店、温泉施設など24カ所を取り上げ、表面と裏面に写真付きで掲載。場所を示す手書きの地図も載せた。
昭和の雰囲気を残す大町商店街を取り上げたり、アイヌ文化や白老の歴史を伝えるコラムを掲載したりと、観光客に白老への関心を持ってもらう工夫も凝らした。
生徒たちは今月13日、取材協力者などを教室に招き、完成した観光マップを披露。「商店街の昔ながらの風景はとても魅力」「レトロな雰囲気の店構えは逆に新鮮だった」「白老の良さを発見できた」などと、地元再発見につながった取材活動やマップ作りの成果を発表した。
マップ作りを終えた生徒たちは今後、「白老町の観光を創造」をテーマに引き続き学習。指導に当たった神谷和宏教諭は「自分たちの町を見詰め直す機会になれば」と、総合学習の教育効果に期待していた。