(3)知事選、道議選、市議選、参院選 統一地方選苫小牧、過去最低の投票率

  • この1年2019, 特集
  • 2019年12月18日
統一地方選は軒並み投票率が落ちた

  今年は「亥(い)年の選挙イヤー」。統一地方選と参院選が重なる12年に一度の年だった。その前半戦に当たる統一地方選は、道知事選を皮切りに道議会議員選挙、各市町村の首長選と議会議員選挙へとなだれ込む流れ。熱心な政党関係者らとは裏腹に、有権者の反応は鈍く視線は冷めていた。選挙権年齢が18歳以上に引き下げられた影響もあり、苫小牧では知事選、道議選、市議選の投票率が軒並み過去最低を更新した。

   全国で11あった知事選のうち、北海道は唯一の与野党対決だった。自民、公明、新党大地が推す鈴木直道氏、立憲民主や国民民主、共産など野党統一候補の石川知裕氏による新人同士の一騎打ち。夏の参院選に向けた前哨戦としても注目度は高く、与野党ともに政党幹部らが続々と応援に駆け付けた。両候補は3月21日の告示日、胆振東部地震の被災地で第一声。地震からの復興などを力強く訴えて舌戦の火ぶたを切った。

   当初は、カジノを含む統合型リゾート施設(IR)誘致の是非など争点が幅広かったが、両候補とも任期満了直前の2月に出馬表明という短期決戦で、政策論争はなかなか深まらなかった。IRも石川氏が反対姿勢を鮮明にする一方、各報道の世論調査で優勢が伝えられていた鈴木氏は「道民目線で総合的に判断する」の慎重姿勢。4月7日に30代の若い鈴木知事が誕生した陰で、苫小牧の投票率は前回比1・73ポイント減の52・68%。道内35市の最低を記録した。

   知事選と連動するように、道議選苫小牧市区も盛り上がりを欠いた。定数3を現職3人、新人1人の計4人で争う構図。顔触れも前回と全く変わらず現職3人が再選し、順位も同じ。自民公認の遠藤連氏が6選、立憲民主公認の沖田清志氏、公明公認の安藤邦夫氏が各3選を果たす一方、共産公認の松橋千春氏が涙をのんだ。その投票率は前回比1・72ポイント減の52・39%。同日投開票の知事選よりも有権者に身近な選挙ではなかった。

   1週間後に告示された苫小牧市議選は有権者の反応がさらに鈍かった。定数28をめぐり、現職24人、新人7人の計31人が火花を散らす激戦の構図。IRのような明確な争点をはじめ、少子高齢化や人口減社会の到来、中心市街地の活性化、医療・福祉や子育て施策の充実など、大きな課題や可能性がある中で行われたにもかかわらず、投票率は前回比2・69ポイント減の46・30%に下がった。

   2015年の前回選挙で投票率が初めて50%を切る「負の流れ」はさらに加速。市民にとって本来は最も身近なはずの市議選が、最も無関心という皮肉な結果に終わった。

   当選を果たした現職23人、新人5人の危機感は当然ながら強く、さらなる議会改革を進めようと模索する。任期前半で集中して議論しているのは「議員定数の在り方」で、削減か現状維持かの事実上二択で結論を出す方針だ。

   7月21日投開票の参院選道選挙区は、改選数3に対し新人9人が出馬する大激戦。自民の高橋はるみ氏が前知事の知名度を生かしてトップ当選し、立憲民主の勝部賢志氏、自民の岩本剛人氏が続いた。苫小牧の投票率は前回比4・11ポイント減の48・22%だった。

   (報道部 金子勝俊)

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