白老町立国保病院の経営が極めて厳しい状況に陥っている。患者の減少に加え、今月中の常勤医師1人の退職が響いて今年度の医業収益の大幅な落ち込みは避けられず、資金繰りも悪化している。病院事業会計は2017、18年度の2年連続で赤字決算となり、19年度は町一般会計からの追加繰入金9000万円を投入しなければ立ち行かない事態に。こうした状況が続けば、病院の改築計画にも影響をもたらす恐れがある。
12日開会の町議会定例会で前田博之氏(きずな)の一般質問に町側が説明した。
資金不足の解消に向けて同病院は、今定例会に町一般会計からの繰入金5000万円を計上した病院事業会計補正予算案を提出、今年度末までにさらに4000万円の追加繰り入れが必要としている。既に今年度当初予算に約2億7700万円の繰入金を計上しているため、計9000万円の追加により、繰り入れは合計約3億6700円に上る。
資金繰り悪化の背景にあるのは、10月以降の入院患者の減少に伴う医業収益の落ち込みが大きい。さらに常勤医3人のうち内科医1人が今月末で退職するため、新たな医師を確保するまでの間、新規の入院患者を受け入れられない事態となり、今年度下半期の医業収益の大幅な減少が見込まれるという。
同病院は、来年4月の民族共生象徴空間(ウポポイ)開業に伴う観光客の増加を見据え、救急医療の体制整備で来年3月に常勤医師1人を採用する考えだが、今年度も厳しい決算となるのは避けられそうにもない。
同病院は患者の減少で17年度、18年度ともに赤字決算となった。2年連続の単年度赤字の発生により、累積欠損金は10億円を突破。今年度の経営悪化でさらに増える可能性がある。
資金不足が発生するような危機的状況が今後も続けば、現病院の経営安定化を前提とした病院改築計画に影響をもたらす恐れもある。前田氏の質問に戸田安彦町長は「特に入院患者の確保に向けては、現在の急性期病床の一部を回復期病床に転換し医業収益向上を図りたい」と述べた。