苫小牧市内の朝野球強豪チーム「オールスターMI」のオーナーを務める岩﨑美江子さん(90)。10年以上にわたり、朝野球のビックタイトルにもなっている苫小牧民報社など主催の大鷲旗や苫小牧商工会議所会頭杯で幾度となく栄冠を勝ち取っている強豪チームの「個人オーナー」としてチームを支えている。90歳を迎えても「最後の最後まで人の役に立てることがしたい」と意欲を示し、「オールスターの選手たちには来年の全道大会も頑張ってほしい」とチームにエールを送っている。
女学生だった戦時中、深刻な労働力不足を補うため、当時の中等学校以上の生徒や学生を軍需産業や食料生産に動員する学徒勤労動員の一環として、砂川市でれんが洗いなどを経験した。女学校卒業後、苫小牧商業協同組合(旧統制組合)に勤務。戦後間もないころで、衣食住に必要なものが十分に手に入らない時代。協同組合は、配給の卸業の役割を担っていたという。
1954(昭和29)年に同組合を退職し、藤重(ふじしげ)さんと結婚。同時に旧緑町20(現在の音羽町2丁目付近)に居住。59年に夫が設立した岩﨑建築工業所の経理を担当。95(平成7)年に藤重さんが、がんで他界するまでの36年間、会社を支えてきた。一般住宅や商店など幅広い建築物を手掛け、現在も残っているものもあるという。
80歳を目前に控えたころに転機が訪れた。以前からプロ野球などのスポーツ観戦が大好きという岩﨑さん。周囲にも「自分の野球チームを持ってみたい」という夢を語っていたほどだった。そんな時に娘の節子さんの夫が、朝野球に精通している知人に相談したところオールスター(当時)の関係者から連絡があり、企業をスポンサーに置かないというチームの方針などとも合致して、とんとん拍子で話が進んだ。そして2008年、自分の名前の美江子から”MI”の字をチーム名に加えた「オールスターMI」のオーナーとなった。
オーナーになってからは大鷲旗に幾度となく優勝。苫小牧商工会議所会頭杯では、今年10月に行われた第41回大会で前年に全国大会にも出場した強豪・下川原アルミ工業と対戦。昨年まで4年連続で決勝進出し、あと一歩及ばなかった悔しさを晴らし、最終回に逆転に成功。7年ぶりに栄冠をつかみ、来年、小樽市で開催される全道大会の出場権を獲得した。
今月3日に90歳の誕生日を迎えた岩﨑さん。「野球やサッカー、ラグビーなどをテレビで見ながら応援し、楽しんでいることが元気の秘訣(ひけつ)」と笑顔で話す。今後については「チームが全道大会に出場するので、まずはそこで勝てるように頑張ってほしい。今後も思い残すことないように生きていきたい」と語っている。
(工藤航)
岩﨑 美江子(いわさき・みえこ) 1929(昭和4)年12月3日、苫小牧市で、6人きょうだいの3番目(次女)として産声を上げた。47(昭和22)年に苫小牧高等女学校(現・苫小牧西高校)を卒業。2008年に朝野球チーム「オールスターMI」のオーナーとなる。チームのユニホームは、18年シーズンから自身の好きな色の緑を基調としたものになっている。苫小牧市泉町在住。