住宅街の道路で後続の車にあおられた。逆光のため顔は見えなかったものの髪型は若い女性。特に恐怖は感じなかったが、不快感はしっかりと残った。
近所のスーパーに買い物に出掛けた時のことだ。バス通りと交差する片側1車線の道路沿いには大きな公園があり、子どもが多い。その先には一時停止の交差点もあるから、いつもゆっくり走る。その200メートルほどの直線道路で、後ろから白い軽四輪車がぴたりと近付き、繰り返し左右に走路を変えて「遅い。速く走れ」と要求してきた。まさかこんな住宅街で―と思いながら交差点で速度を落とすと大きく右側にはみ出し走り去った。「じゃまだ、じじい!」。そんな声が聞こえるようだった。
全国各地で、あおり運転が元になった恐ろしい事件や事故が続いている。自動的に記録するカメラが普及したせいもあるだろうが、車間距離保持義務違反による検挙は2018年、前年の倍の1万3025件にも上ったそうだ。警察庁は、あおり運転をした者は事故の有無にかかわらず免許を取り消して道路交通の場から排除する、厳罰化の検討を始めたと報道されていた。法案は年明けの通常国会に提出される見通しだという。
わが町内で見た女性運転者のことを改めて考える。あのむき出しのいらだちは、どこからくるのだろう。あの凶暴な運転はどこで覚えたのだろう。厳罰化は、彼女の心を鎮められるだろうか。(水)