白老町がJR白老駅北側に開設する駅北観光商業ゾーン(ポロトミンタラ)の中核施設・インフォメーションセンターがほぼ完成し、民族共生象徴空間(ウポポイ)開業前の来年4月1日にオープンする。施設の管理運営を担う白老観光協会は12月から準備に取り掛かり、ウポポイと連動した地元観光振興の拠点として機能させる。
インフォメーションセンターは、木造平屋約520平方メートルの建物。外壁や内装などに木の素材をふんだんに生かし、明るい雰囲気の造りとした。地元アイヌ文様刺しゅうサークルの協力を得て、内壁の一部に文様のデザインを施し、アイヌ文化をアピールする工夫も取り入れた。
内部は、白老や各地の特産品を展示販売するスペースや、飲食の新商品PR・提供コーナー、サークル活動やアイヌ文化体験など多目的に利用できるコミュニティールーム、観光スポット案内や体験型観光プログラムの手配など町内周遊の調整機能も備えたインフォメーションコーナー、白老観光協会の事務スペースなどで構成。24時間対応型のトイレも併設した。
管理運営の白老観光協会は職員6人体制の事務所機能をセンターに移すほか、多言語で観光案内に対応できるスタッフなどを新たに抱え、業務に当たる。オープンに伴い、東町の観光案内所兼事務所は閉じる。
町が条例で定めたセンターの管理運営方針では、開館時間を原則的に午前8時から午後6時とし、年末年始を除いて無休とした。事業者が施設内で商品を展示販売したり、サークルなどがコミュニティールームを使ったりする際の料金も設定。1室当たりの使用料は、コミュニティールームが1時間250円、新商品PRスペースが月額4万9000円、特産品展示販売スペースは月額6万8000円などとした。
センターの建設費は建物本体と機械・電気設備を合わせて約1億9200万円。本体はほぼ完成し、11月29日に町議会の駅北地区観光商業ゾーン・活性化促進特別委員会(広地紀彰委員長)の委員らが内部を視察した。広地委員長は「地域に経済効果をもたらす役割を果たしてくれれば」と期待を寄せた。
ポロトミンタラ(面積1・5ヘクタール)は、来年4月24日のウポポイ開業を見据えて白老駅北広場の跡地に整備。センターを核とした行政整備区域と、ホテルや飲食・物販用の民間活力導入区域で構成し、町はウポポイ来館者を含めて年間300万人の入り込みを目標にした観光戦略の拠点に位置付けている。
指定管理協定を締結 町と観光協会
白老町は11月29日、白老駅北観光商業ゾーン(ポロトミンタラ)の管理運営に当たる一般社団法人白老観光協会(福田茂穂会長)と指定管理協定を締結した。
観光協会が管理運営するのは、インフォメーションセンターや屋外の交流広場、83台分の駐車場で構成するポロトミンタラの行政整備区域(1ヘクタール)。指定管理の期間は12月1日から3年間で、来年4月のオープン以降、観光案内や特産品PR、施設の使用料徴収などの業務を行う。
12月中旬ごろから開業準備が本格化することから、町は、臨時職員の人件費や光熱費、通信環境整備費など今年度分の指定管理料410万円の補正予算を組んだ。
協定の締結式で戸田安彦町長は「白老観光の発信拠点となる場。観光振興の活動に期待したい」と述べ、福田会長も「民族共生象徴空間の開業も迫る中、しっかりと準備を進めていきたい」と意気込みを示した。
白老観光協会は今年8月、観光庁の日本版DMO候補法人に登録された。DMOは国の観光関連の補助金が受けやすくなる制度で、本登録を目指して来年2月には官民で観光戦略を練る「白老まちづくりDMO戦略協議会(仮称)」を設置。地域の幅広い連携で観光のまちづくりに取り組む。