26日に開かれた厚真町議会の臨時会で、太陽光発電や胆振東部地震で被災した倒木などを活用した木質バイオマス発電などエネルギー地産地消事業を盛り込んだ今年度一般会計補正予算案が可決された。これを受けて町は28日に道に補助申請を行い、今年度を含む3カ年で太陽光発電や木質バイオマス発電施設を整備する考え。2022年度にも稼働させる予定だ。
同事業は、太陽光や地震で出た被災木など町内で利用可能な自然資源を使って電力を生産し、災害による停電時にも災害対策本部や避難所となる公共施設に電気を安定供給できるシステムを構築するもの。新町、京町、本郷、富里の町内4地区に太陽光発電設備と蓄電池を設置する。
また、木質バイオマス発電施設の併設を検討する新町地区では、被災木をチップとして活用し、廃熱を新たに建てる「厚真ストロベリーパーク」(仮称)に送ってイチゴ栽培に利用。まだ構想の段階だが、実現すれば、冬期間も栽培できる環境が整うほか、新事業による雇用を生み出すだけでなく、イチゴ狩りといった観光農園需要の高まりなど、かつてのイチゴ産地復活にもつながる可能性がある。
同事業は、町と民間企業でつくるコンソーシアム(共同事業体)が主体となって動く。今後の進め方として12月から町の条件に沿った内容で企画を提案する業者を公募し、コンソーシアムで事業の効果や持続性について調査、評価。その後、道が来年3月下旬に専門家による審査を行い、持続可能と判断されれば、来年度から実施設計に着手することになる。道からは最大5億円の助成を受ける。
同事業を進めるに当たり、宮坂尚市朗町長は「イチゴ農家を目指したいという若い方もいる。熱エネルギーをうまく使って、町の主力産業でもある農業の活性化に期待している」と話す。
一方で、同事業の可否をめぐっては、町側の議員への説明不足もあって時間を要した。26日の臨時会でも議員から「コンソーシアムの形を申請する段階で議決が必要だったのでは」「予算案がなければ議会は関わらなかったのか」といった声などが寄せられ、町側は「今回は手違いで前後してしまったが、今後はちゃんと説明していくつもり」としている。