前浦河町長の谷川弘一郎さん(84)=同町西幌別、谷川牧場会長=が自叙伝「ウマ町長、日高を駆ける―馬産地の発展を願って―」(文藝春秋企画出版部、200ページ)を出版した。名馬シンザンとの出会い、まちづくりに心を砕いた町長時代、馬産地振興、政治家・官僚ほか多くの人との出会いや葛藤など半生を振り返っている。
谷川さんの祖父・谷川梅吉さんが、福井県大野市から1896(明治29)年に夫婦で移り住んだ地が現在の谷川牧場。5冠馬シンザン(浦河町・松橋牧場生産)が種牡馬として過ごし、長寿を全うしたほか、タケホープなどGI名馬を輩出してきた老舗牧場だ。
町議1期目途中の1989(平成元)年、9期務めた町長が退任することになり、「次は民間人を」と先頭に立って候補者を探したが人選は難航。結果、本人が町長選に挑むことになり、同年初当選。以来、5期20年間務めた。
「町民のために何をしたいか」を最優先に考え、市街地再開発や優駿の里アエルの整備ほか、港湾、福祉環境の充実などにまい進。高橋はるみ知事時代には、ホッカイドウ競馬の累積赤字が拡大し、存続の危機にあった。馬産地日高が直接、競馬運営にかかわる組織づくりと改革に奔走し、地方競馬の存続と産地対策に尽くした。
谷川さんは「お世話になっている人や関係者に配りたい」とし、発行部数は限定で非売品。浦河町立図書館には寄贈する予定。