白老町立国保病院は、来年4月の民族共生象徴空間(ウポポイ)開業に伴う観光客の入り込み増を見据え、常勤医師の増員など救急医療体制を強化する。急患の外国人観光客の来院に備え、民間の電話医療通訳サービスも導入し、観光で来町する人々の受け入れを医療面からも整える。
救急告示病院の同病院は現在、内科の常勤医3人で24時間の救急医療に対応しているが、体制強化で1人増員。救急業務に当たる常勤看護師も1人増やす。検査機器も更新し、血液を調べる生化学分析装置、心停止状態に対処する医療機関用除細動器(AED)、超音波診断装置の新しい機器3台を導入する。
急患の外国人観光客の受け入れ体制も整備する。民間の電話通訳サービスを利用し、診療時などに患者と医療スタッフ、通訳者がタブレット端末を介してやりとりする仕組みをつくる。システムは英語や中国語、韓国語、フランス語など最大10カ国語に対応でき、円滑な診療、治療につなげる。システム運用に伴い、公衆無線LANのWi―Fi(ワイファイ)環境も整備する。
外国人患者のために院内環境も整える。院内に掲示する病院施設の案内掲示板などを多言語で表示。診療申込書や同意書、処方箋、面会・入院案内書、領収書なども多言語の書類を用意する。キャッシュレス時代を踏まえ、医療費支払いの会計窓口でカード決算ができるようにする。
同病院は、年間来館者100万人を目標に掲げるウポポイの開業に伴い、急患の観光客が増えると予測し、救急医療や外国人対応の体制強化を図ることにした。医師、看護師の確保や設備導入などはウポポイ開業を前に2019年度内に実施。年度内にかかる総事業費は約3100万円で、アイヌ施策推進交付金と町負担で賄う予定。町は25日の町議会定例会11月会議に補正予算案を提出した。
同病院は「観光客の受け入れには、救急医療面も強化することが必要。国内外から安心して白老町に訪れることができるようにしたい」と話している。
外国人の急患に関しては、町消防本部もテレビ電話通訳サービスを導入し、通報や患者搬送に対応できる仕組みを導入している。