学校を拠点に文化芸術活動を行う「アーティスト・イン・スクール」が、12日から22日にかけて白老小学校で展開された。日常の風景を別のものに見立てたアートを発表する札幌のパフォーマー加賀城匡貴さん(44)が、児童や地域住民と触れ合いながら創作に取り組んだ。
アーティストが一定期間、空き教室をアトリエに創作活動を行う「アーティスト・イン・スクール」事業は2004年以降、文化芸術団体の主催で道内各地で続けられている。白老町で初めて行われた同事業は、同町を舞台にしたウイマム文化芸術プロジェクト(文化庁、実行委員会主催)の一環で実施。「見立て」をテーマにした写真や映像制作、ステージパフォーマンスなどユニークな活動で知られる加賀城さんを白老小に招いた。
加賀城さんは校舎や学校周辺を探索しながら、消火器や掃除道具、樹木や落ち葉など見慣れた風景、物をカメラで撮影。学校の中休みや昼休みを利用して児童らに写真を見せながら「何に見えるか」と質問し、「ジャガイモのモンスター」「草を食べるカエル」といった見立てを聞き取りした。写真は、A4サイズのかるたに仕上げて最終日の22日、活動成果として子どもたちと共に楽しんだ。
学校にやって来たアーティストと交流を深めた3年生の大柳樹君(9)は「いろんな物が別の物に見えて面白かった」と言い、加賀城さんは「見方を変えれば、全く違う世界になる。そうした想像力は心を豊かにする。よく観察し、新たな発見をする楽しさを子どもたちに知ってもらいたい」と話していた。
各地での「アーティスト・イン・スクール」事業に携わり、今回の加賀城さんの活動をサポートした一般社団法人AIS(アイス)プランニング(札幌)の漆崇博さんは「文化芸術活動を地域づくりにつなげる。学校はその拠点。そうした可能性を広げる事業の意義は大きい」と語った。
表現集団「scherzo(スケルツォ)」を率いる加賀城さんは、さまざまな教育機関でのワークショップなどでも活躍しているほか、今年、見立て写真のカードゲーム「こんなところにMONSTER(モンスター)」を発表した。