胆振総合振興局などが主催する防災・復興シンポジウムin胆振が18日、苫小牧市内のホテルで開かれ、厚真、安平、むかわの3町長が、胆振東部地震の発生当時の対応や復興状況などを報告した。自治体や建設業の関係者ら約250人が参加する中、地域の復興に向け、生活の核となる住宅再建や市街地の再編によるにぎわい創出の必要性などを訴えた。
厚真町の宮坂尚市朗町長は、被害額が800億円を超える大規模災害の応急期を乗り越えられた理由として、国や道などの応援職員の存在があったことを強調。その上で「小規模な自治体ほど災害時に多くの支援を受け入れ、乗り切る覚悟が必要」とし、最大の復旧テーマである地滑り箇所の早期の土砂撤去で「住宅再建と町民の心のケアが進む」と思いを語った。
安平町の及川秀一郎町長は、全世帯の91%をカバーする地元のコミュニティー放送「あびらチャンネル」による町民への情報提供の取り組みを紹介。電気や水道の復旧状況、避難所情報を積極的に発信し、不安を抱える住民を支えたと報告した。
復興に向けては、今年4月にオープンした道の駅D51ステーションをシンボルに位置付け、「リピートしてもらえるよう施設を充実し、観光客を市街地に誘導したい」と抱負を述べた。
むかわ町の竹中喜之町長は住家や商店の倒壊以外に、灯油タンクが倒れた事例も目立ったと指摘。厳冬期に地震が起きていた場合、火災の可能性もあったとし、さまざまな状況を想定した防災計画の必要性を説いた。同町は7月に復興計画を策定しており、今後はその内容に沿った形で「中心街の再編など人々でにぎわうまちづくりを進めたい」と話した。