依存

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  • 2019年11月16日

  冬の始まりが、年々つらくなってくる。今年の冬は、数日前から寒気団や猛吹雪などの怖い単語が新聞やテレビに流れ、いつになく緊張して始まった。

   50センチの積雪、風速30メートル―。そんな数字が頭の中を駆けめぐる。居住地は、日本海側でも道北でもないが予想以上の悪天候の広がりは十分あり得る。心配した関東の知人からは「大丈夫?」と電話が入った。タイヤ交換の予約は偶然、荒天の前日だった。1時間弱で手際良く終わり、ホッとした帰路、樽前山から雪雲がぐんぐんと近づき、粉雪の舞う中を帰宅した。

   自動車への依存が、年齢とともに高まってくることに気づく。先頃、関東や中部、東北地方が台風や豪雨に襲われた時、自動車で避難中の高齢者らが車ごと流されて泥水にのみ込まれ、多くの死者が出た。防災の新しい課題として、注目されている。自動車は水だけでなく雪にも弱い。旭川など道北の各地では積雪や路面の凍結のため、さっそく冬型の交通事故が続発している。冬でも、遠出しなければならない急用は当然ある。買い物や通院など、ごく近い距離でも車に頼る機会が増えていく。

   路面状態に合わせて速度は控えめに、減速は早めに。万一の立ち往生に備え、車内には厚手のコートや毛布を積んでおきたい。除雪道具や長靴も、ぜひ準備したい。天気予報によると荒天は週明け後も続きそう。北国の知恵と備えの試される冬が、始まった。(水)

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