言葉

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  • 2019年11月11日

  天皇皇后両陛下が10日、即位パレードに臨まれた。その前日、即位をお祝いする国民祭典が行われ、アイドルグループの嵐が奉祝曲・組曲の第三楽章「Journey to Harmony」という楽曲を歌った。「君が笑えば世界は輝く」。美しい言葉の始まりに続く詞は、自然界の出来事を現世の日々になぞらえながら「誰かの幸せが今を照らす」と希望を込めた。なんと素晴らしい曲だろう―と素直に感じる。

   家族はもとより、身近な人たちを幸せな気持ちにすることができるのは行動や言葉ではないか。詞の意味からそんなメッセージを思ったが、私たちの日々は意に反して人の思いに翻弄(ほんろう)される。時には、誰かが何気なく放った厳しい声に悲しい気持ちになることも。これはすべての年代の人たちに共通することだ。

   私たちが発するメッセージには「言霊(ことだま)」がある、と考えている。同じように考える記者仲間や知人の多くは、不幸を誘う言葉を軽々に発しない。例えば事件や事故、そして災害にまつわる事柄だ。防犯に関わる関係者がある会合で「死亡事故に遭遇したことがない」と語った当日、不運にも死亡事故が起きた。その人は深く反省しながら二度と軽々に口にしないことを誓った。

   令和という新しい時代はあと2カ月足らずで2年目を迎える。時の流れの早さを思いながら、言葉の大切さを改めて考えた。(隆)

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