(7) 好き嫌い<感謝の気持ち 苫小牧明野中1年 三浦(みうら) 鈴(れい)さん

  • 特集, 苫小牧学校給食作文コンクール
  • 2024年11月1日

  私は好き嫌いが多く、給食を全部食べたことがほとんどない。「残さず食べよう」「苦手でも一口は食べてみよう」というのはわかっていても、初めて見るものや嫌いなものは、一口も食べないこともある。小学生のころからずっとだ。時間も短いし、残したって誰にも叱られないからいいやと思っていた。しかし、あることをきっかけに考えが少し変わった。

   今年の1月、苫小牧市の「こども国際ツアー」に参加し、札幌のJICA(国際協力機構)でウガンダの学校給食を食べた。メニューは、とうもろこしの粉をゆでて丸めた「ポショ」という主食と、「豆のトマト煮」だった。味はおいしかったが、「え、これだけ? 副菜やデザートはないの?」「毎日こんなメニューかな…」と思った。私たちの給食とは全然違っていた。そして私は、世界の学校給食についてもっと知りたいと思った。夏休みにもう一度JICAに行って、世界の子供たちの食糧事情や学校給食について調べてみた。すると、開発途上国の中にはもともと学校給食がない国や、一日の食事が給食の1食だけという国があることがわかった。朝から家の仕事を手伝い、空腹のまま学校へ行って勉強している子供たちがいるなんて思ってもみなかった。毎日残している自分が恥ずかしくなった。また、この問題については、世界の取り組みとして45年前から途上国の学校に給食を配る「学校給食プログラム」という活動があることも知った。貧困に苦しむ国の子供たちが、給食を食べられることによって栄養状態が改善したり、家庭の食費がかからなくなったりする。すると、親が学校に通わせてくれるようになり、また給食が食べられるという良い循環が生まれるそうだ。しかし、45年も活動を続けているということは、まだまだ解決していないということだと思う。

   では、日本の給食はどうだろう。始まりは明治23年、貧困児童を対象に無料で学校給食を実施したそうだ。メニューは、おにぎりと焼き魚に漬物と、今の給食とは全然違うが100年以上も前から給食があったことに驚いた。今、私たちの給食は栄養バランスが良いだけでなく、地域の特産品を使った料理や海外の料理などもあって、毎日違うメニューで食事を楽しむことができる。これは、当たり前ではないのだ。

   今の私は、途上国の子供たちの力になることは難しいが、毎日の給食に感謝して食べることはできる。何のために給食があるのか、そこにどれだけの人が携わってくれているのかを忘れずに、少しずつ苦手を克服していきたい。

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