支笏湖の紅葉が色鮮やかでにぎやかだった秋も終わり、今年も根雪になる前に、と冬囲いなどの冬支度が始まろうとしています。
そんな中、先日ビジターセンターの裏にシマエナガがやって来ました。シマエナガ(エナガ科)は、体重は8グラム、体長14センチほどです。エナガというくらいなので体長の半分は尻尾になり、スズメよりも小さな鳥になります。
近年ひそかなブームになっており、単独の写真集が発売され「雪の妖精」とも呼ばれています。
冬のイメージが強い人もいらっしゃるかと思いますが、渡り鳥ではなく留鳥でエナガの亜種となります。名前のシマはからだの模様がしま模様というわけではく、北海道を表す「島」からきています。全道に分布していて冬は支笏湖の温泉街はもちろんのこと、森のある公園などでも見られ、比較的観察するのに難しくない鳥です。
夏はスリムですが、「雪の妖精」といわれる由縁ともなった冬の寒い時期になるとごま粒のような小さな目とくちばしに大福のような大きく丸いフォルムになり、ふわふわな毛でかわいらしく愛らしい姿だと一目でとりこになる人が続出しています。
シマエナガはかわいらしいだけでなく、生態も面白いので紹介したいと思います。シマエナガは、つがいで卵を7~12個産みとても子だくさんです。夫婦だけで子育てするのはとても大変なので、ヘルパー制度というものがあり、協同繁殖を行うことがあります。
多くが血縁の若鳥で繁殖していない鳥が子育てを手伝うそうですが、中には血縁がない他人、いや他鳥もヘルパーさんとしてひなの餌やりなどの手伝いをして、子育てを手助けします。このヘルパーさんですが、エナガでは雌よりも雄の方が多いらしく、経験を積んで将来の「イクメン」を目指して日々努力をしているのかもしれません。
また、ひなたちが巣立ち間近になると、小枝に団子のように並ぶ姿もかわいいです。
これから冬のシマエナガの雪浴びなどかわいらしい姿を観察してみるのもいいかもしれません。
(支笏湖ビジターセンター自然解説員 阿部隆一)