千歳市は2日、市出身の声優、鈴木愛奈さんが主演を務めるテレビアニメ「邪神ちゃんドロップキック」の千歳を舞台にした「千歳編」アニメ制作を「ふるさと納税」を活用して行うと発表した。目標金額は12月末までに2000万円で、ふるさと納税を活用したアニメの製作は、全国でも初めての試みになる。
第6回新千歳空港国際アニメフェスティバルに併せ式典会場「ポルトムホール」こけら落としイベントが開かれた際、明らかにした。「ふるさと納税」の観光に関する取り組みとして実施し、具体的な納税方法は、今月中に市ホームページで周知していく。
ふるさと納税による千歳市への寄付は、2018年度に過去最高となる2億5439万円を記録。山口幸太郎市長が「皆さんの善意を財源にぜひ千歳編のアニメをつくりたい。どうぞ応援してほしい」と呼び掛けると、会場は割れんばかりの拍手に包まれた。
アニメは、漫画家ユキヲさんによる同名のウェブコミックが原作。鈴木さんが声を演じる上半身は少女で下半身が蛇の姿をしたキャラクター「邪神ちゃん」と邪神ちゃんを人間界に召喚した女子大生「花園ゆりね」の同居生活を描いたコメディー作品。18年に地上波で放送され、20年春から、続編が始まる。
近年、ドラマやアニメなど作品の舞台やゆかりの地を訪ねる「聖地巡礼」は、全国的に盛んに行われている。旅行会社が「聖地巡礼ツアー」を行うほど、舞台巡りには需要がある。千歳市でも、アニメを通じて市内の美しい景観や特産品を発信し、観光PRにつなげたい考えだ。
さらに会場では、同じく千歳出身声優の花井美春さん(21)が、新キャラクター「リエール」役で出演することも公表された。本来、来春の放送には登場しないはずのキャラクターだったが、千歳編に登場させるため、前倒しして起用した。
公演後に、本紙の取材に応じた原作者ユキヲさんは「千歳は、空がとてもきれいに見える町。支笏湖に向かう道の景色にも懐かしさを感じ、アニメの舞台としても、ばっちりだと思う」と笑顔。道内都市部で最も市民の平均年齢が若い市の特性を挙げて山口市長も「特に若い方が、『若い千歳』のまちに興味を持ってもらえることはうれしい」と語った。