白老町の仙台藩白老元陣屋資料館は、来年4月の民族共生象徴空間(ウポポイ)オープンを見据え、多言語ガイドシステムを導入した。来館者に専用スマートフォンを貸し出し、館内の展示物や屋外の史跡を英語、中国語などの音声で解説する仕組み。ウポポイの開業に伴い、増加が予想される外国人来館者への対応策で、来年度には多言語パンフレットの作成なども予定している。
システムは、館内10カ所と屋外の国指定史跡「白老仙台藩陣屋跡」内5カ所の解説スポットで専用スマホを操作すると、英語、中国語、韓国語、日本語の4カ国語で仙台藩陣屋にまつわる展示資料や史跡の説明を聞けたり、スマホの画面で解説文や関連画像を見ることができる仕組み。資料館は専用スマホを10台用意し、10月から希望者への貸し出しを始めた。
資料館は、国立アイヌ民族博物館を中核としたアイヌ文化復興・発信拠点ウポポイの関連施設に位置付けられている。ウポポイの開業後、外国人来館者の増加が見込まれる中、受け入れ体制の整備でシステムを導入することにした。個人旅行などで資料館へ足を運ぶ外国人観光客も近年増えており、武永真館長は「多言語対応の取り組みで利便性を高め、来館をさらに促したい」と言う。
専用スマホを借りて、日本語の音声ガイドで展示物を見学した同町の高校3年生吉井さつきさん(18)は「スマホの画像と文章、音声で展示資料について詳しく知ることができ、海外から訪れる人たちにとても優しいシステムだと思う」と話した。
多言語ガイドの導入費は約260万円。外国人対応として資料館は来年度、多言語表記の看板やパンフレットの作成も予定している。
白老仙台藩陣屋跡は、幕府の命令で仙台藩が1856(安政3)年、北方警備のために築いた陣屋跡。1966年に国の指定史跡に登録された。資料館は古文書や武具など約300点を所蔵し、陣屋造営の経緯、武士とアイヌ民族の交流など幕末の蝦夷地や白老の歴史を伝えている。