苫小牧市美術博物館で、中庭展示Vol.13「坂東史樹 小さくて深い空」が開かれている。今月8日の強風の影響で一時公開中断を余儀なくされた作品の損壊前と修復後の写真と共に展示内容と主題について、同館学芸員細矢久人さんが2回にわたり紹介する。
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自身の夢や印象深い情景などを微細かつ、リアルな模型作品で表現する浦河町出身、札幌市在住の美術家・坂東史樹(1963~)は近年、都市の情景を模型化し、それ自体に電飾を仕掛けて配置する展示を手掛けている。
本展では、苫小牧港・西港を緻密な手仕事により再現した模型作品のインスタレーション(架設展示)を発表。ウェブ上の地図や航空写真を参照して、1/1600のサイズに縮小した港と臨海工業地帯を再現した。制作に約5カ月を費やした模型は、中庭に備え付けられる展示台上で、実際の方位と合致するように設置した。
その表面には1200点にも及ぶ光ファイバーを適所に配し、港周辺の構造物に彩りを与えている。中庭の天井部分を暗幕で覆い、その中央部分から円筒型の白布を垂らすことで、外光を採り入れた空間を構成し、見る者へ展示台上の都市景観と空とのつながりを意識させる。
開幕当初から好評を博した本展だが、過日の強風で損傷。模型の修復や会場設営などの化粧直しを経て、10月18日から中庭の回廊で展示している。
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中庭展示は11月24日まで。午前9時半~午後5時(入館は午後4時半まで)。月曜休館。観覧料は一般300円、高校、大学生200円、中学生以下無料。