千歳の民謡団体、北優会(福士厚子会主)所属の大西莉華子さん(23)が第70回民謡決勝全道大会(北海道民謡連盟主催、名寄市)全国民謡の部で初優勝を飾った。同大会で3部門制覇を目指す大西さんにとって出場4回目で念願の首位獲得。自身でも結果に驚きつつ、次の大会を見据えて稽古にも力が入っている。
全道大会は6日に開催された。高校1年生から64歳対象の全国民謡の部は38人が出場。千歳地区と道央地区の予選を通過した大西さんは高校3年の時から歌い続ける秋田県の民謡「秋田馬子唄」を披露した。結果発表で呼ばれた瞬間を「こんなに早く優勝できるとは。びっくりとうれしさの両方だった」と振り返る。
練習の成果を規定の2分30秒で発揮する一発勝負。「稽古以外に家でも毎日練習し、成功するイメージを意識した。発声が途切れたり震えたりすることはなかった」との手応えだ。
大西さんは過去に別の全道大会で優勝し、今大会での優勝も射程圏内だった。そこで今回は歌い方を大幅に変更。途中で息を吸うブレスの頻度を減らし、節回しを強めた。容易な歌い方ではないが、「体への力の入れ方や抑揚などで対応した」という。
千歳市で生まれ、民謡を習い始めたのは5歳。以来17年にわたり稽古に通い続け、自衛隊駐屯地で働く現在も毎週火曜の夜に3時間打ち込む。子供の頃から教える講師の福士優子さん(45)は「今大会での優勝は大きな目標だった。本当に立派に成長し、後輩たちのいいお手本」とたたえる。
今回の優勝を「自分の努力だけではなく、会や家族など周りの支えがあったからこそ」と語る大西さん。次回の同大会で二つ目の優勝を狙い、来年3月に開かれる千歳予選の通過を見据える。「子供からお年寄りまで幅広い年代の人と関われるのが民謡の良さ。この先も後輩に憧れられる存在でありたい」と力を込める。