ひだか南森林組合(本所・様似町鵜苫、小野哲弘組合長)は敷地内に、日高管内になかった大径木加工工場を建設し23日、完成を祝う安全祈願式と関係者の見学会を開いた。新施設整備のきっかけを作った北海道森林管理局の新島俊哉局長も駆け付けた。
2002年に様似、えりも両森林組合の合併で誕生したひだか南森林組合は、閉校した鵜苫小の施設を改修し、事務所やチップ工場などに利用。4年前から開始した木質系バイオマス発電所向けの燃料用チップの生産増大などにより、18年度事業収入は6億5762万円の実績を挙げている。
大径木の加工工場は、人工林で樹齢50年以上となった40~60センチ径のトドマツやカラマツ、天然広葉樹を厚さ10・5センチなどの原板に加工する施設。旧音楽室を活用し、鉄骨造りの新建屋を増設した延べ305平方メートルの広さ。ここに製材加工の機器類などを配置した。
1日の原木処理能力は40立方メートル。設備投資額は加工機械や建屋新設、電気設備など4234万円(一部リース)。補助金には頼らず、すべて自己資金で賄った。
安全祈願式には小野組合長以下、組合幹部や工事関係者ら20人が出席。その後の見学会には道森林管理局や森林管理署、日高振興局の森林担当、町幹部など約40人が参加した。
小野組合長によると、昨年、新島局長が2度来町し、将来を見据えた持続可能な森林運営や、付加価値を高めた加工・生産などについて熱い思いの説明を受けた。管内では最大径木38センチの加工工場しかなく、これに触発された小野組合長らが、今後需要の拡大が見込まれる大径木の工場建設に踏み切った。
新島局長は「大径木工場の完成は大変うれしい。昨年6月の講演から、こんなに早く実現するとは思わなかった。樹齢50年以上経過する人工林の継続的な利用はとても重要。この工場の完成は日高地域にとっても非常に大きな一歩」とたたえた。
小野組合長ら組合では「地域のニーズに応え、付加価値を高めて販売したい」とし、年内は工場オペレーターの養成に当たり、年明けから運転を開始する予定。