児童虐待防止を進めるために厚生労働省と横浜市が開設した機関「子どもの虹情報研修センター」(日本虐待・思春期問題情報研修センター)=横浜市=と共同研究を行っている研究者らが21日、千歳市役所を訪れ、子育て世代の行政的なサポートなどに関する聴き取り調査を行った。市が作成に取り組む虐待防止ための「市民向けマニュアル」に高い関心を寄せた。
来訪したのは川松亮さん=明星大教授=と小出太美夫さん=社会福祉法人真生会理事=。千歳市が道内で初めて「子ども家庭総合支援拠点」の千歳子育て総合支援センターを設け、妊産婦や子育て世帯への相談対応や調査、訪問などによる継続的な業務機能を軸に調べを進めた。
市こども福祉部の担当者が、子育て支援の拠点施設を先駆けて運営した経緯として「転出入が多い市の特徴」を挙げた。全国的に問題が頻発するようになった児童虐待の防止や早期発見に向けた事業としては、市民向けに作成中の「対応マニュアル」を取り上げ、「市民周知が必要。通告の大切さを広く知ってもらいたい」と説明した。
これを聞いた小出さんは「市民向けの周知マニュアルはとても珍しく、新しい挑戦」と評価し、「市民と手を結んで、虐待防止をすることになる」と感心していた。
聴取内容は来年度に機関が報告書をまとめ、厚労省、都道府県、全国の児童相談所に配布するほか、ホームページ上でも公開される。
「子どもの虹情報研修センター」は2002年に開設され、運営は国からの補助金で賄われている。
昨年から市町村の子供家庭相談に対する調査をテーマに各地の自治体を訪ねてきた。今年は千歳市を含めて、東京都調布市、栃木県日光市など全国の5カ所で調査を予定する。