IOC(国際オリンピック委員会)が、来年開催の東京オリンピックの暑さ対策としてマラソンと競歩の競技会場を札幌市へ変更する考えを示したことを受けて、苫小牧市内の陸上関係者、行政などからは歓迎の声が上がっている。市内での事前合宿などの誘致や海外チームの宿泊などに期待が寄せられている。
IOCは16日、東京五輪の猛暑対策として、大会期間中の気温が東京より5~6度ほど低いとされる札幌への会場変更を検討していると発表した。9~10月にカタールで開かれた陸上の世界選手権で、女子マラソンや競歩の選手に棄権者が相次いだことが背景にある。
会場の変更について、苫小牧市スポーツ都市推進課の神保英士課長は「中には困惑している選手もいるかもしれない」とした上で「東京より涼しい環境の札幌で競技ができることは選手にとっては望ましいこと」との認識。地域への波及効果でも「苫小牧の交通アクセスの優位点など立地条件を生かし、事前合宿などの誘致につながるとうれしい。『オール北海道』で受け入れるつもりで、準備をしていく」と語った。
競技関係者からも喜びの声が上がった。苫小牧陸上競技協会の島崎鶴松理事は「札幌であれば苫小牧からも気軽に行ける距離。世界レベルのアスリートのすごさを体験できる絶好の機会になる」と目を細めた。沼ノ端陸上競技スポーツ少年団に所属する佐藤こなね(拓進小6年)は「五輪の陸上競技が近くで開かれることになりうれしい。絶対観戦に行きたい」と声を弾ませた。