千歳市は23日、市成年後見支援センターを千歳市社会福祉協議会内に開設する。認知症の高齢者や知的障害、精神障害のある人など、判断能力が十分ではない市民の権利を擁護するのが目的。相談業務や成年後見制度の利用を支援するほか、市民への制度周知にも取り組む。
判断能力が十分ではないことで、生活上の契約や財産管理などで不利益を受けることがある。成年後見制度は不動産の売却や賃貸契約解約、消費者被害の取り消し、現金、預金、証券など財産全般の管理について、援助者が関与することで権利を守る仕組みだ。
本人の判断能力の度合いによって、援助者は後見人、保佐人、補助人に分類され、それぞれ権能が違う。後見人の場合は日用品購入などの行為以外の契約はすべて取り消すことができるほか、本人に代わって契約を結ぶことができる。
2016年施行の「成年後見制度の利用の促進に関する法律」では、制度の利用促進のため市町村が成年後見制度実施機関の設立など、必要な措置を講ずることに努めること―を求めている。市は今後の高齢者人口の増加を見据え、高齢者や障害者が住み慣れた地域で安心して生活できるよう、制度を適正に利用するための相談や支援を行うセンターを設置する。市民後見人の育成や活動も応援する考えだ。
事業はすでに法人としての法人後見事業に取り組む千歳市社会福祉協議会に委託。これまでのノウハウや専門性の高いスタッフの知見を生かし、センター長と相談員2人の3人体制で業務を展開する。
千歳市保健福祉部の佐藤勇次長は「制度について気軽に相談することができ、自身の将来や財産管理などに不安や悩みのある人の状況に応じた支援につながる」と期待。「市民の権利や財産を守ることで、安心して生活できるまちづくりに寄与できると考えている」と話している。