第43回支笏湖紅葉まつりの会場で14日、この夏に寄贈を受けたミニ蒸気機関車(SL)とミニ電車が初めて一般向けに走行した。かつて支笏湖と苫小牧を結んだ鉄道「山線」を知ってもらう趣向の企画。多くの親子連れでにぎわいを見せた。
地元関係者で構成する「支笏湖・山線プロジェクト実行委員会」主催の無料体験乗車会には計約350人が乗車した。湖畔園地にレールをつないだ1周約50メートルの円形線路を2周した。
ミニSLは本物のSLと同じく蒸気機関で走る。燃料にはすすの出ないプロパンガスを用いた。同プロジェクトに賛同した所有者で鉄道マニアの小松弘夫さん(76)=埼玉県熊谷市=が8月、「支笏湖のため役立てて」と電車と一緒に譲渡した。
10月11日に環境省の許可と土木業者の協力を得て盛り土を築き、線路を敷設。12日夜には台風に備えてブルーシートをかぶせ、夜通し見守った。近くに説明のパネルを並べ、1908年から51年まで支笏湖―苫小牧間を走った旧王子軽便鉄道と山線鉄橋の歴史を紹介した。
力強く蒸気を噴き上げ、汽笛一声の後、発車する車両に子供たちは大喜び。札幌市北区から家族4人で訪れた小学4年、高﨑遥麻君(9)は「初めてミニSLに乗って楽しかった。今度は本物にも乗ってみたい」と目を輝かせた。
プロジェクト実行委の木下宏事務局長は「多くの人々に喜んでもらえてよかった。レールには人を引き付ける力があると思う。この地域に鉄道があった歴史をより広く知ってもらえれば」と話した。来春以降も体験乗車会を催したい考えだ。