政府・与党は、石破茂首相が策定を指示した総合経済対策について、手取り収入を増やす政策に言及する方向で調整に入った。複数の関係者が30日明らかにした。国民民主党の主張を一部反映させ、財源の裏付けとなる2024年度補正予算案の年内成立へ協力を得たい考えだ。自民、国民両党は31日、幹事長・国対委員長が会談し、協議の進め方などを議論する。
政府は総合経済対策について、11月14日の閣議決定を目指している。その後に開く臨時国会で補正予算案を成立させたい考えだ。
政府・与党は経済対策で「手取りを増やす税制についても検討する」などと明記する方向。年末に行う25年度の税制改正論議で、国民民主が衆院選で訴えた、所得税の負担が生じる「103万円の壁」見直しや、ガソリン税を一時的に引き下げる「トリガー条項」の凍結解除を取り上げる段取りを描く。
ただ、所得税とガソリン税の減税は数兆円規模の税収減につながり、自民の財政再建派や財務省から異論が出る可能性がある。自民幹部は「年内に決着できなければ『こういう方向で検討する』と税制改正大綱に書き込む」と語った。
国民民主の玉木雄一郎代表は30日、記者団に、自民との協議で社会保険料の負担軽減や電気・ガス代の引き下げも求める考えを強調。「103万円の壁」見直しについて「税制改正に間に合わせる必要がある」と指摘した。国民幹部は自民が結論を先送りすれば「25年度予算案は成立しない」と警告した。
自民は11月11日召集予定の特別国会で行われる首相指名選挙でも、国民民主の「協力」を期待する。同党は30日、決選投票も含め玉木氏に投票する方針を決定。石破氏と立憲民主党の野田佳彦代表が決選投票に進めば、玉木氏への票は無効票となり、結果的に首相再指名の後押しとなる。