千歳市出身・在住のバトントワーリング選手、渡辺由香理さん(27)が8月にフランス・リモージュで開催された世界大会、第10回WBTFインターナショナルカップのスリーバトンのアダルト部門で2位に輝いた。過去の同大会では年代別3部門で優勝し、大会史上初の3冠に輝いた国際的な名手。今大会で女王の座は逃したものの「自分はまだ戦える」との手応えを感じ、結果を糧に次の大会を見据えている。
バトントワーリングは金属製の棒を回転させたり、投げたりしながら、音楽に合わせた体の動きと組み合わせる芸術性の高い競技。渡辺さんが出場したスリーバトンは1分半程度の曲に合わせて3本のバトンで技術を競う。大会の同じ部門には各国から10人が出場した。
父親の勤務の関係で青森県に住んでいた4歳当時にバトントワーリングを始めた。小学5年で千歳に戻ってからも競技を継続。国内外の数々の大会で優勝した経歴がある。WBTFインターナショナルカップでは、2007年にジュニア部門、09年にシニア部門、17年にアダルト部門で優勝。大会史上初の偉業を果たした、この道の世界的競技者だ。
以前は結果を重視した練習を続ける考え方だった。3冠の目標を達成した後は、インターナショナルカップへのエントリーをやめよう―という思いもよぎった。それでも大会に出たいという気持ちが強くなり、締め切り直前で今大会に応募。これまでは結果を求めていたが、心境は「大会に出ることに意義がある」と変化し、「満足できる演技」が目標となった。
インターナショナルカップには過去6回の出場経験がある。「不安や緊張もありましたが、ポジティブに考えるようにしました」。アダルト部門は22歳以上が出場要件。年下の他国選手も多数いるなか、予選は1位で通過した。だが決勝では緊張が高まり、ミスが続いたことでカナダの選手が優勝した。「緊張と焦りが演技に出てしまいました」と悔しさをにじませる。
悔しさの一方で学びもあった。20代前半の選手も多い中、予選の1位通過は大きな自信になった。「どんな所でも自分のペースを崩さないことが大切」と実感。「どんなに緊張しても演技をできるくらい、完成度を高めたい」との思いを強くする。
来年3月のバトントワーリング全日本選手権大会への出場を視野に練習を重ねる日々。選手としてだけでなく、指導者としての目標も生まれた。「年齢問わず、誰でも気軽に楽しんでもらえるスポーツになってほしい。魅力を多くの人に知ってもらえるよう活動していきたい」と展望している。