4日から全国で公開されている映画「蜜蜂と遠雷」は、紹介記事などで何か引き付けられるものがあり早速、劇場に足を運んだ。直木賞と本屋大賞をダブル受賞した恩田陸さんの小説が原作。世界への登竜門とされるピアノコンクールでしのぎを削る若手ピアニストたちの戦いを描いている。主演の松岡茉優さんが、演奏シーンを吹き替えたピアニストの録音現場に居合わせて感じたのは「ピアノと一体になって1匹の怪獣になっているようなオーラ」だったという。「自分をむき出しにしピアノと格闘する姿が刻み込まれた」とも。
闘志むき出しと言えば、開幕3連勝のラグビー・ワールドカップ日本代表。格闘家のようにいかついラガーマンと穏やかで上品なイメージが強いピアニストは一見対極をなしているが、映画を見て大観衆を前にした真っ向勝負、一瞬たりとも気を抜けない緊張感、勢いづいたら止められない爆発力は似ていると感じた。
勝負の世界では、プレーヤーにもチームにもドラマがある。日本代表のトライゲッター福岡堅樹さんはラグビー選手を引退後、医学部を受験し医者を目指すという。他の選手たちの中にも苦労人が多い。本気のぶつかり合いはジャンルを問わず、見る者を魅了する。4年前に敗れたスコットランドとの運命の一戦にはどんな結末が待っているのか。強い台風の接近が気掛かりだが、決戦は13日。(輝)