(3) カムイト 伝承残る神の湖 雲が懸かると白老に雨

  • アイヌ語地名を歩く 白老, 特集
  • 2019年10月7日
「カムイト」(神の湖)と呼ばれた倶多楽湖。アイヌ民族の伝承が残る
「カムイト」(神の湖)と呼ばれた倶多楽湖。アイヌ民族の伝承が残る

 白老町虎杖浜の名前は、アイヌ語地名の「クッタルシ=イタドリの多いところ」から付けられました。現在は、「クッタラ」というアイヌ語を日本語に訳し、その意味の「イタドリ」を漢字に直した「虎杖」が使われ、「クッタルシ」は土地の名前としては使われなくなりました。ただし現在も、「クッタリウス川」や「窟太郎山」「倶多楽湖」などとして残されています。その中のクッタラ湖という名前は江戸時代から使われていたようで、松浦武四郎の記録にも「クツタルシ湖」として載っています。

 「クツタルシ湖」は、当時この地方に住んでいたアイヌ民族から聞いた名前でしょうから、古くから「クツタルシ湖」という名前で呼ばれていたと思いますが、倶多楽湖にはもう一つ名前があります。それは、伝承者が伝える「カムイト」という名前です。

 「カムイト」は、直訳すると「神の湖」という意味です。この名前は、アイヌ語地名としてはそれほど珍しい地名ではなく、高い山の上などにある湖に付けられる名前としては、一般的な名前です。ただし、「カムイト」と呼ばれる由来は、それぞれの湖によって異なり、一定ではありません。

 多くの場合、「カムイト」は「カムイモシリ(神の世界)」と接していて、人間が神にささげた、あるいは神の世界へ送ったものが岸辺に寄り上がることから、神の湖であると考えられて「カムイト」という名前が付きます。倶多楽湖でも、「神に祈りをささげるときに用いる道具が寄り上がっているのを見た人がいる」という伝承が残されています。

 さらに興味深いのは、「白老のコタン(集落)から夜にクッタルシヌプリ(窟太郎山)を見ると、青白い光が見えることがある」という伝承が残されていることです。また、「倶多楽湖の山に雲が懸かると、次の日は白老に雨が降る」という伝承もあります。このようなことから、倶多楽湖が「カムイト」と呼ばれていたのかもしれません。

 (苫小牧駒沢大学客員教授・岡田路明)

 ※「アイヌ語地名を歩く」は毎月第1・第3月曜日に掲載します。

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