千歳市は1日、自動車運転免許を持つ高齢者対象の「高齢者運転免許証自主返納サポート制度」を開始した。内容は1万円分の路線バス乗車補助券の交付と協賛店舗での特典や割引サービスの2本立て。運転に不安を抱え、免許返納に迷う高齢者を後押しする新たな取り組みだ。
各地で犠牲者を伴う高齢運転者による事故が相次いだことを受け、政府が6月に定めた「未就学児等および高齢運転者の交通安全緊急対策」に沿った市の独自事業。高齢者の外出機会と外出手段の課題を解消するため、2事業を設けた。
利用希望者は千歳署か札幌運転免許試験場で免許証を自主返納し、手数料1100円を支払って運転経歴証明書を入手する。証明書は返納時にその場では受け取れず、発行まで約1カ月かかる。証明書を受け取れば、支払時の提示で協賛店舗での割り引きを受けられる。協賛店舗は現時点で確定していないが、飲食店や小売店などが含まれる見込み。店舗リストが出来上がり次第、希望者に郵送したり市役所で配布したりする。
バス補助券は運転経歴証明書と印鑑を持参し、返納者本人が市の市民生活課窓口で手続きする。贈るのは1回100円券100枚セットの計1万円分。週2回で1年間使える額に設定し、75歳以上の市民なら日中時間帯の路線バスに100円で乗車できる「シルバーおでかけパス」と併用すると、無料でバスに乗れる仕組みだ。バス利用に慣れてもらう狙いだ。
注意が必要なのは返納者の年齢と返納したタイミング。2事業とも今年4月1日以降で75歳以上の市民が対象。加えてバス補助券は今年4月1日以降に免許証を返納した人に交付する。同課は限定的な運用方法となった背景に、高齢運転者でも75歳以上の事故率が高いことや制度が免許返納への「見返り」ではなく検討中の高齢者への「後押し」であることを挙げている。