むかわ きたはし工房 地域で愛され創業100年 震災も乗り越え意欲盛ん

  • ニュース, 白老・胆振東部・日高
  • 2019年10月4日
創業から100年を経て「元気な限り続ける」と意欲を見せる3代目の北橋貞一さん

  むかわ町で建具、家具販売などを展開する「きたはし工房」が8月で創業から100年を迎えた。商店街の衰退で他市でもシャッターを閉じる店舗が相次ぐ中、3代にわたって地域に根差し、住民に愛されてきた老舗。昨年9月に発生した胆振東部地震で店舗が損壊する被害にも負けず、営業を続けており、3代目の北橋貞一さん(68)は「体が元気なうちはずっとやる」と衰えぬ意欲を語る。

   1919年8月1日、初代に当たる祖父の常造さんが創業。その後、一造さんが後を継ぎ、建具と家具を並行して切り盛りしてきた。神奈川県の大学を経て、26歳で地元へ戻った北橋さんもやがて家業を手伝うようになり、40歳を過ぎて取得した1級建築士の資格を生かして住宅の修理などを手掛けた。「まだこの時は従業員がたくさんいて、仕事を取ってくるのが大変だった」と当時を懐かしむ。

   時代の流れとともに大型店の進出や店主の高齢化、後継者不在などを背景にシャッターを閉める店も少なくない。だが「できる仕事はある」。現在は建具にかかる図面の作成からすべてを一人でこなし、妻の登美子さん、叔父の章さんと3人で店を切り盛りする。

   昨年の地震で店舗は損壊したが、「やめるということは考えなかった」。むしろ「地震があって、今は大忙しだ」と苦笑する。町内のみならず、平取町、日高町からも住宅リフォームの依頼が相次ぐため、ほぼ休むことなく作業にいそしむ日々。「一日の予定がびっちりで断ることも。でも、『それでも待ってる』と言ってくれる人がいる。本当にありがたいなと思う」と言う。

   家具店も3月からプレハブの仮設店舗で営業を再開した。大型のソファやテーブル、椅子、たんすや食器棚、高級じゅうたんに加え、2006年から始めた車いすや補助歩行器といった介護用品などがずらりと並ぶ。大型店と比べれば訪れる客は決して多くないが、必要な時に買いに来てくれる人がいる。

   北橋さんは「体が元気なうちはずっと続けていくよ」と屈託のない笑顔を見せる。

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