イトーヨーカドー恵庭店が9月29日、37年にわたる営業の歴史に幕を下ろした。午後7時15分から正面玄関前で閉店セレモニーを実施。山根隆店長ら従業員約100人がシャッターが閉まるまで頭を下げ、集まった多くの利用客に感謝を伝えた。
午後7時の閉店間際には、従業員が玄関付近に並び、退店する利用客を見送った。セレモニーでは「37年間ありがとうございます」とメッセージを掲げて涙を流す従業員の前に山根店長が立ち、あいさつ。従業員と地域への感謝を述べ、「37年間、日数にすると1万3723日、皆さまに支えられてきた。他店舗に行った際は、恵庭店のことも思い出してほしい」と語った。
あいさつの後、ゆっくりとシャッターが閉まり始め、利用客からは「ありがとう!」と声が上がった。隣接するJR恵み野駅の窓から手を振る人もいた。
閉店セレモニーを家族6人で見守った恵庭市相生町のパート従業員、臼澤真利子さん(49)は同店で働く23歳の娘にねぎらいの花束を持参。「便利な場所だったので閉店は残念だけど、最後のあいさつを聞いて感動しました」と話していた。
同店は恵み野地区の開発が始まった1979年から3年後の82年に、市の誘致を受けて開店。食品、雑貨、衣料品などを扱う総合スーパーとして、恵み野地区を中心に利用が広がっていたが、商業施設が近隣にできたことなどによる競争の激化などで、客足は少しずつ落ち込んでいた。売り上げの減少や施設の老朽化などが閉店の理由となった。跡地の活用は現在未定。
同店には約200人が働いており、正社員は20~30人、契約社員は135人、テナントなどの従業員は37人。正社員と一部の契約社員は他店舗での勤務が決まっている一方で、契約社員ら89人が離職予定。新たな雇用の受け皿の確保が課題になっている。
千歳公共職業安定所(ハローワーク千歳)と札幌東労働基準監督署は今月恵庭地域大量雇用変動等対策本部(本部長、山谷秀治所長)を設置し、取り組みを進めている。