室蘭海上保安部はこのほど、えりも町にある襟裳岬灯台の点灯130周年を記念して灯台内部を一般公開した。地域住民や観光客ら343人(海保調べ)が訪れ、歴史ある内部設備を見学し、踊り場から眼下に広がる雄大な太平洋の景観を眺望した。
襟裳岬灯台は、1889(明治22)年6月に本道唯一の1等灯台として道内で7番目に完成。北米航路などへの道しるべとして航海安全の一翼を担っている。終戦直前の1945年7月に米軍機の爆撃で破壊され、50年に現在の灯台に建て替えられた。
かつては、多くの職員官舎があったが、64年5月から職員が交代勤務になったことで、78年に官舎は全て撤去された。さらに、2005年には情報技術の発達に伴い、道内灯台で最後に無人化された。
観光客らは、灯台内部のらせん階段を上がり、晴天の暗夜には約40キロ先まで光が届くという直径1メートルの大型レンズに目を見張り、外部の海抜73メートルの「踊り場」では、眼下に襟裳岬岩礁帯と太平洋の大海原絶景にしばし見とれていた。
帯広市から襟裳岬観光に訪れた吉田稔さん(45)と教雄君(小学3年)は、灯台入り口で保安官の制服を着せてもらい、マスコットと並んで敬礼の記念撮影。踊り場では「水平線の彼方を行く船が上の部分しか見えない。地球が丸いことを実感できた」と親子で感激していた。