恵庭市の高杉六花(りっか)さん(39)の小説「君のとなりで。」がKADOKAWA(東京)の児童書レーベル「角川つばさ文庫」から発刊された。同社の小説賞で最高位を射止めての「児童書作家デビュー」で、高杉さんは「読みやすい作品ができた」と笑顔。このほど市役所を表敬訪問し、全13小・中学校に本を寄贈した。
3月発表の第7回角川つばさ文庫小説賞の一般部門で、応募作品181点の頂点となる金賞に輝き、児童書の発刊が決まっていた。作品は女子中学生の主人公が、受験で失敗するどん底から始まりながら、吹奏楽部で恋愛をしたり、試練を乗り越えたりしながら、成長していく青春もの。税別640円で、全国の書店で販売する。
高杉さん自身も高校受験で失敗しながら、吹奏楽に打ち込んで充実した高校生活を送った経験を持つだけに、「その道が失敗か成功かは、誰かが決めるのではなく、自分で決めることができる」の思いを込めて執筆。一方で主人公が先輩に片思いする、いわゆる「ムズキュン」な進行に、「子供たちに読んでもらうため、子供目線の恋を考えて書いた」と振り返る。
受賞作品名は「シークレットブレス」だったが、発刊に伴ってタイトルも変更。「同じ空間にいるだけでうれしい」という、恋愛女子の心模様が伝わる。出版に当たって文字数を4割ほどそぎ落としつつ、表現をより柔らかくするなど工夫したといい「さらさらと読みやすい作品になったと思う」と胸を張る。
市役所を表敬訪問し、原田裕市長、穂積邦彦教育長に本13冊を寄贈。「読書のまち」恵庭からの作家誕生に、市長は「本当に素晴らしい」と笑顔を見せ「これからも健筆をふるって子供たちを楽しませて」と激励。既に来年1月に第2巻の刊行も決まり、高杉さんは「より多くの子供たちに楽しんでもらえる作品を書いていきたい」と気持ちを新たにしていた。