キャッシュレス

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  • 2019年9月19日

  ソフトな押し売り―。そんな印象を受けている。最近話題のキャッシュレスの話だ。先日、札幌市内で利用したタクシーの車内では、「○○ペイ」など十数社のサービス事業者のステッカーが視界に入った。ドライバーさんによると、今は現金派とクレジットカード派が主流だが、電子マネーやスマートフォン決済が急増中。「1年もかからず一気に変わりそう」と教えてくれた。

   昼食で時々利用する苫小牧市内の飲食店は観光客の7、8割がスマートフォン決済。ポイント還元サービスなどのお得感が追い風となり、わずかな期間で私たちの暮らしに入り込んできた。記者も電子マネーカードでコンビニの買い物やJR運賃を精算する機会が増えた。現金を出す手間は減ったが、必要性はあまり感じていない。

   キャッシュレスの普及には国も力を入れている。マイナンバーカードにポイント還元の仕組みを取り入れ、民間事業者のキャッシュレス決済サービスと連携。利用額を前払いすると全国共通「マイナポイント」が付与されるという。2万円を入金すると5千円のポイント提供が有力とか。大盤振る舞いの政策だが、マイナンバーとつながれば、ゆくゆくは一人一人が何を買い、どこに移動したのかなどの情報が管理されるのではないかという一抹の不安も感じる。

   ソフトな押し売りは他の分野にもある。便利さの裏側にある何かが気になる。(隆)

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