昨年9月6日、園児のお泊まり会中に胆振東部地震で震度6強の揺れに襲われた安平町のはやきた子ども園(早来大町)は、同地震を教訓にこの1年、災害対応マニュアル見直しやより実践的な避難訓練などを通じ、防災体制を強化してきた。今年もお泊まり会を18、19の両日に控え、子どもたちの楽しい思い出づくりに向けた準備と合わせ、安全対策の再確認を進める。
昨年のお泊まり会には約35人の年長児が参加。初日の9月5日、園児らはバーベキューや露天風呂を楽しんだ後、ホールで就寝したが日付が変わった翌6日午前3時7分、経験したことのない大きな揺れに見舞われた。
幸い、園児や園内にいた5人の教職員にけがはなく、園は保護者との情報共有へ日頃から用いている電子メールの一斉送信システムを活用。現況を逐次、保護者に連絡した。
園児を引き渡すタイミングについても速やかに伝達でき、わが子を迎えに保護者が殺到して、2次災害に巻き込まれるという事態は避けることができた。
発災当時、副園長として勤務中だった福田剛園長代理(50)は「日頃から、災害には十分備えていたが、まさかお泊まり会中にこれほど大地震に遭遇するとは思ってもいなかった」と回顧。限られた人員の中で当時としては最善の対応をできたと自負しながら「再びこうした地震に見舞われる可能性も想定し、防災体制の見直す必要性を痛感した」と話す。
まず、倒れると危険な物の撤去や固定といった身近な場所の安全確保に取り組み、園全体の防災体制の見直しにも復旧作業が一段落した今春に本格的着手。災害対応マニュアルを見直し、日頃から教職員が園内で活用するトランシーバーを非常時の人数確認や情報共有にも活用することを決めた。揺れが落ち着いた時点で集合する場所も複数箇所設定した。
避難訓練の在り方も再検討。今年度に入ってから、あえて園児の自由遊びの時間帯に訓練を実施。年度内には、教職員にも実施日を告げない「抜き打ち訓練」を計画しているという。
10日後に控えたお泊まり会に向け、45人の年長児が食事の献立やゲームなどの内容を話し合っている。教職員も昨年度の経験を踏まえ、万が一の事態にも十分対応できる人員体制で臨む。地道なヒアリングを通じ、保護者らの不安解消にも努めてきた。
福田園長代理は「災害発生時に何より大事なのは状況を把握した上、落ち着いて適切な行動を取る対応力だと昨年の地震から学んだ。今後も現場の対応力を高める働き掛けを続けたい」と力を込めた。