白老町の第三セクター、白老振興公社(社長・古俣博之白老町副町長)が経営難などのため、2019年度で解散する見通しだ。町委託事業の減少や民族共生象徴空間(ウポポイ)整備に伴う自主事業ポロト温泉の廃止などで、16年度以降3年連続で営業損失が発生し、好転の見込みも厳しいからだ。株式の75%を保有する筆頭株主の町は、今月にも臨時取締役会を開いて解散の方向で協議し、事業の引き継ぎ体制を検討していく考えだ。
解散の方向性に関しては4日の町議会定例会9月会議の本会議で、前田博之氏(きずな)の質問に戸田安彦町長や古俣副町長が説明した。
1971年設立の白老振興公社は、主に町からの受託事業で経営。委託業務は2013年度時点で学校給食センターの施設管理や調理、町立国保病院や介護老健施設きたこぶしの給食調理、中央公民館やコミュニティセンターの清掃など16事業あった。しかし、新しい学校給食施設の開設に伴う調理業務の委託先変更や、一部清掃業務の直営化などで受託事業が次第に減少。現在は環境衛生センター管理運営、小中学校の軽清掃、役場パソコン保守点検など7事業にとどまっている。
さらにポロト湖畔で経営していた温泉施設・ポロト温泉の敷地がウポポイ整備地に含まれ、国に土地を売却することになったため、16年度末で施設を廃止。自主収益事業も失った。
こうした状況から収支バランスが悪化し、16年度に93万円、17年度295万円、18年度229万円の営業損失が発生。19年度は約450万円の営業損失が見込まれている。経営好転の見通しが立たず、町の委託事業も限られているため、営利目的の株式会社として公社を存続させる必要性が薄いとの認識から、一般質問の答弁で戸田町長は「基本的に株主総会で決めることだが、筆頭株主の町としては解散を考えている」と説明。公社の社長を務める古俣副町長も「9月には(臨時取締役会で)一定の方向、10月には(臨時株主総会で)最終結論を出したい」と述べた。
一方、公社は正社員4人のほか、嘱託やパート職員などを抱えており、町は今後、従業員の雇用や現在の委託事業の引き継ぎ体制を具体的に検討。古俣副町長は「解散後の受け皿をどうつくるかが課題。NPOや社団法人などに事業を委託することなども考えたい」とした。
町は引き継ぎ組織として、町の関与で一般社団法人を立ち上げることも検討している。