北海道開発局は2日、胆振東部地震で土砂流入などによる大きな被害を受けた厚真町の厚真ダムや主要農業用水路・厚幌導水路、日高幌内川の復旧工事現場を報道機関に公開した。工事は着々と進んでおり、開発局は「すべての復旧作業を2023年までに完了させたい」とした。
地震発生から6日で丸1年を迎えるのを前に、報道陣向け現地説明会を開催。新聞、テレビなど18社から約40人が参加した。
町内の農業用水確保のため建設された厚真ダムは地震の影響で、下流への水路に土砂や流木が押し寄せた。決壊を避けるため、土砂撤去工事は昨年11月で終了。山ののり面を保護する工事などを行う予定で現在、工事用車両が通る道路整備を進めている。22年度中に全ての工事を終える計画という。
約1700ヘクタールの水田に水を送る厚幌導水路(全長29キロ)は、水道管に亀裂が入ったり、管の接続部分がずれて水漏れするなどの被害が計約10キロ範囲で発生。被害部分を特定する作業を終え、6月から本格的な復旧工事に入った。19年度内に2・7キロの配管を直し、22年度中に復旧を終える計画となっている。
日高幌内川は山の崩落で、1・1キロの区間にわたり土砂が約500立方メートル堆積。土砂の高さは地震発生当初約50メートルに達したが3月までに、新たな川の流れを生み出す緊急の掘削工事を終えた。
道開発局室蘭開発建設部の山本清二次長は「復旧完了の見通しが付いた。関係機関と連携し、地域に寄り添いながら一日も早く工事を完了できるようにしたい」と話した。