(中)安平・及川秀一郎町長 中心部の空洞化対策課題 4年、8年後を見据えて

  • 特集, 胆振東部地震1年 被災3町長インタビュー
  • 2019年9月3日

  ―胆振東部地震発生からこの1年を振り返っての心境は。

  「通常の1年よりも何倍も濃密だった。道路は本格的な工事が進んでいるが、早来中学校に関してはまだ仮設校舎で勉強している状態。速やかに行わなければならないことと、長期間かけて行うものがある。まだ入り口の事業が多いが、長期避難指示区域で2、3年は元の住居に戻れないという声もあった中、一定のめどが付いた。仮設住宅に入る全員が新しい住居に移ることができれば復興が進んだと言える」

  ―復興のシンボルとして道の駅がオープンした。

  「震災がなければ昨年9月にオープンするはずだったが、結果として多くの人に来てもらっている。来年以降も集客できるようにしなければならない。まだ完成版ではない。道の駅横にミニSLを走らせるなどし、たくさんの子どもに来てもらえるような公園を造っていく。(12市町でつくる)「炭鉄港」の仲間に加わったことで、日本遺産に登録される追い風を受けた。連携しながら、広域的な観光振興も図りたい」

  ―復興まちづくり計画の策定に取り掛かっている。

  「当初、公約に小中一体型の校舎建設はなかったが、震災の影響で着工を早めざるを得なくなった。ただ元通りにするだけではなく1歩、2歩先に進めたその先にある移住、定住につながるよう取り組んでいかないと。この先より良い環境を整備するため、小中一貫の義務教育学校も視野に入れ、会議録も公表して丁寧に議論している」

  「再建が1年遅れた点がクローズアップされるが、通常は6年ほどかかるところを最短でできる方法を考えている。プロセスは仕切り直しになったが、スピード感を持ってやっている。良い学校をどうつくるかも考えているし、そこは一貫してぶれていない。建設的な意見も出ている。マイナス面を指摘するだけではなく、プラスの声も出してもらいたい」

  ―復興をより加速させる鍵は。

  「第2次安平町総合計画の4年、8年後を見据えたまちづくり。中心部の空洞化対策は課題だが、大きなピンチを大きなチャンスにできるようにしたい。震災後、優秀な人材が安平町にやって来て、新たな学習支援事業「あびらぼ」や北進の森でのプレーパーク展開、クラウドファンディング実施など今までにない新しい動きが出てきている。支援に来てくれた人たちを応援団に新しい施策を打っていけたら」

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