第一洋食店ゆかりの地を巡る 市立美術博物館で特別展にちなみ企画

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  • 2019年9月2日
王子倶楽部を見学する参加者

  苫小牧市美術博物館は8月30日、創業100年の節目を迎えた第一洋食店=市内錦町=にゆかりのある場所を散策する「第一洋食店の足跡を訪ねて」を開いた。市内外から参加した22人は、町歩きを楽しみながら苫小牧の歴史に触れた。

  同館で9月16日まで開かれている特別展「第一洋食店の100年と苫小牧」の関連事業。特別展をより深く理解し、楽しんでもらおうと企画した。

  参加者は王子アカシア公園を出発地点に、迎賓施設として使用された王子倶楽部(市内王子町)、現在花屋の倉庫として利用されている同店の旧店舗(市内本町)など3カ所を巡り、学芸員が第一洋食店とのつながりや歴史を解説した。

  同店開業前に創業者の山下十治郎が務めていた王子倶楽部を訪れた一行は、貴賓食堂や大食堂に並ぶ施設の歴史を伝えた写真やパネル、来賓に振る舞われたとされる食事のメニューや器を見学した。

  参加者は一つ一つをじっくりと眺め、施設内を見回しながら「結構広いんだね」「壁や天上から歴史を感じる」と話し、建物の設計者や構造に関する質問も相次ぐなど興味津々。古くから残る建築様式や資料を観察し、当時の様子を想像していた。

  王子倶楽部は、王子製紙苫小牧工場の正面玄関北側に位置し、1910(明治43)年の操業時に建設。翌年に当時の皇太子で、後の大正天皇の休憩場所となって以来、皇室や財界人の貴賓が訪れるようになった。現在、迎賓館としては使用されておらず普段は非公開となっている。

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