千歳市の人口が昼間に膨らむ、市外からの「流入超過」が続いている。夜間の「常住人口」に比べて、昼間に約3500人が流入しており、特に恵庭との「交流」が活発だ。千歳の良好な雇用環境など「まちの元気」を裏付ける一方、移住・定住の促進でさらなる可能性も秘めている。
市がこのほどまとめた「まちづくり白書」による分析。同白書は10年ごとの総合計画策定に併せ、人口や産業、財政などの統計データを整理して冊子にしている。人口データは5年ごとの国勢調査結果に基づき、昼夜間人口の比率や推移、他市との流出入状況などをまとめた。
国勢調査に基づく千歳の人口は15年、9万5648人で夜間人口に当たる。一方、通勤や通学などに伴う移動を踏まえ、日中にまちにいる人口を示す「昼間(ちゅうかん)人口」は9万9138人。差し引き3490人の流入超過で、夜間人口に対する昼間人口の比率、昼夜間人口比率は103・6だった。
昼夜間人口比率は05年の105・6がピークで、10年は104・7、そして直近の15年と、5年ごとに約1ポイントずつ下落。千歳は道内でも数少ない人口増加都市で、昼間人口、夜間人口どちらも右肩上がりだが、昼夜間の差は年々縮まりつつある。
昼間の流入先、夜間の流出先のトップ3は、いずれも多い順に恵庭、札幌、苫小牧。流入は恵庭が5893人、札幌が3710人、苫小牧が1434人。流出は恵庭が3058人、札幌が2958人、苫小牧が2015人。千歳は昼間に近郊から人口が流入するケースが基本で、千歳から見て昼間に流出超過している市町村は、苫小牧、安平、厚真のみだった。
市企画部は流入超過に「働く場や学ぶ場が多いという『まちの力』を表している」と説明し、「昼間、夜間ともに増え続けており良い傾向」と強調する。特に恵庭との流出入が目立つ現状について「医療や産業など結び付きが強く、一つの生活圏域になっている」と分析する。
夜間は恵庭や札幌などに「帰る」人が多い裏返しでもあるが、「移住・定住は大局的に進める必要がある」と冷静に相乗効果を見込める現状を歓迎。今後は相次ぐ自然災害などで、企業などのBCP(事業継続計画)が注目される昨今だけに「企業が職住近接などをどのように考え、どう数字で表れていくか注視し、施策などに生かしていきたい」としている。