日本野鳥の会(東京)は6月30日、苫小牧市民会館で、シンポジウム「柳生博と学ぶ勇払原野の魅力~安平川河道内調整地の賢明な利用を考える~」を開いた。市民約140人が集まり、市内東部の弁天沼周辺の自然保護について考えた。
シンポジウムは日本野鳥の会の名誉会長で、俳優の柳生博さん(82)によるトークショー「確かな未来は懐かしい風景の中にある」で開幕。柳生さんは勇払原野に生息するチュウヒやオオジシギなど野鳥の写真を大型スクリーンに投影しながら、弁天沼周辺の自然について「遠くに火力発電所や工場が見えて、自然と人間の営みが折り合いを付けている光景に感動した」と語った。
後半は、環境の専門家4人を迎えたパネルディスカッション。室蘭建設管理部の矢野明治水課長は「安平川河道調整地の工事は今年から試験的な盛り土が始まるが、完成には10年以上かかる見通し」と説明した。
日本野鳥の会施設運営支援室の大畑孝二室長は「弁天沼を含む調整地をラムサール条約登録湿地にしたい。その際は、現在あるウトナイ湖の登録湿地を拡大した形に」と提言した。
このほか、美唄市の宮島沼水鳥・湿地センター職員牛山克巳さんが宮島沼を渡りの中継地点にしているマガンについて紹介。苫小牧市環境生活課の片石秀伸課長は、樽前ガローやトキサタマップ湿原など市が指定する自然環境保全地区5カ所について解説した。
同日午前には、市民ら43人が参加し、「柳生博と巡る勇払原野ツアー」を実施。弁天沼周辺などをバスで巡り、コヨシキリやノゴマなどの野鳥を観察した。