序盤に得た4点ものリードを守り切れず、八回に同点に追い付かれた。流れは中央より。「これでは(昨秋の全道大会準決勝の)札幌大谷戦と一緒。そんなはずじゃないだろ」。終盤に同点とされ、延長の末に敗れた因縁のゲームを思い起こした佐々木監督から、九回の攻撃前に檄(げき)を受けた選手たちの目つきが変わった。
「絶対に得点してやる気持ちだった」と先頭の辻本が出塁した。1死二塁となって打席に立った各務は、三回に本塁打を放つなど好調の4番竹中(3年)に「つなごう。自分のためじゃなく、チームのためにやらないと」。放った一打は、歓喜のサヨナラタイムリーになった。
Aブロック代表決定戦で春の全道準優勝の苫小牧工が目の前で敗戦。中央とは春の支部予選で1点差の接戦を演じている。さまざまな重圧に耐えつかんだ7年連続の南大会切符は格別なものになった。「気持ちで勝ってくれた」と佐々木監督は頑張りをたたえた。
12年ぶりの夏の聖地返り咲きに期待が高まる。「まだ守備のカバーリングなど、記録に表れない部分が甘い。短い期間で、細かいところから隙のないチームにしていきたい」と稲場主将(3年)はかぶとの緒を締め直していた。
サヨナラの本塁生還を果たす辻本