苫小牧駒沢大学(有澤恒夫学長)は、高校の教育現場とのつながりを意識した「高大接続」の取り組みに力を入れる。今月、近郊の高校から生徒を受け入れ、教授の講義を体験してもらう試みをスタート。講義は高校の単元を基本としながら、大学のゼミのような雰囲気で進める。教育資産の有効活用を通じた地域の高校との連携強化を目指す。
高大接続は、大学進学希望者の高校教育から大学教育への円滑な移行が目的。生徒の学習意欲を引き出すために高校、大学が連携した教育活動を展開する。文部科学省でも高大接続改革が議論されている。
苫駒大は今回、運営母体が同じ学校法人京都育英館の北海道栄高校(白老町)との高大接続に向け、国公立大学などへの進学を希望する同校の2年生5人に、理学博士である同大学の関谷雅弘教授から物理を学べる場を設けた。
1日、大学のゼミに使う一室で初の講義を実施。関谷教授は90分間、対話の中で生徒たちの知識量などを見極めながら、高校の教科書を用いて演習問題を解かせるなどした。
室蘭工業大学への進学を目指す2年生の島田知弥さん(16)は「高校の授業は50分なので、90分間集中力が続くか心配だったが楽しく受講できた。いろいろと学びたい」と期待を込めた。
講義は毎週月曜日で、来年3月まで続く予定。関谷教授は「大学受験のための勉強だけでなく、物理の面白さも生徒たちに伝えられたら」と話す。
同大学は今後、苫小牧市内の高校にも高大接続を提案していく。
有澤学長は「現在、いろんな形で進めている大学改革の一環。他の高校とも相談しながら、大学の教育資源を生かした活動を広げていきたい」と意気込んでいる。