9 I・TECソリューションズ 住岡(すみおか) 弘(ひろし)社長 中小企業のDX化支援 教育サービス事業化へ実証  

  • 企業トップに聞く 2025, 特集
  • 2025年1月31日
I・TECソリューションズ 住岡弘社長

  ―2024年を振り返って。IT関連業として、苫小牧地域のDX(デジタルトランスフォーメーション)化などの現状をどう捉え、取り組んできたか。

   「本州と比べてやや遅れ気味と思うが自治体関係は積極的。(国や地方自治体が共同利用する情報システム基盤)ガバメントクラウドでデジタル化を強力に推進している。(企業は)大手は進んでいるが、中小は進みが遅い。どこから取り組めばいいか分からないところもあり、新たな事業創出も後手に回ることになる。そういった悩みを持つ中小企業に支援できないか常に考えている」

   「DX推進教育事業を立ち上げたい。大手IT(情報技術)メーカーのDX教育カリキュラムを当社で学び取り、地域企業に教えるビジネスに転換したい。例えば(人工知能=AI=を用いて文章などを作成する生成AIシステムの)チャットGPTをどう活用したらいいか分からない、というような基本的なところから教える。今春に教育サービスを始めたい。まずは事業化できるか、実証しながら進める」

   ―生成AIの活用も各地で進み始めた。

   「昨年夏ごろから生成AIを社内で使ってみている。運用上の課題が出ており、失敗事例を含めて、皆さんに提供できれば。今までの事業スタイルが10年、20年と続くことはありえない。先手を打って旗を振らないと。企業として変わっていかなければいけない」

   ―新たな取り組みが進んでいる。

   「既存の事業と並行しながら、将来につながるもの、新たなことに力を入れている。AI、DX関係の事業を推進する未来事業推進部を立ち上げ、新しい技術を習得しながら製品を開発。部員約10人で新たな製品が生まれ始めている」

   「『独居老人見守りシステム』は製品としては試作段階。モバイル端末を置き、自動的に『おはよう』などと音声を流し、安否を確認する。いろんなニーズを吸収しながら、実証レベルに持っていきたい」

   「(本の貸し出し、返却などの機能を備えた図書管理システム)『お気軽図書館』は1300カ所(前年比100カ所増)で稼働している。今後も維持管理と進化版を広げていきたい」

   「受付案内で電話を転送するシステムを簡単なものにし、安くてどこでも使える汎用(はんよう)版を準備している。当社1階受付で実験し、製品化を目指している」

   ―課題は。

   「目まぐるしく技術が変わり、AIでできる仕事が多くなる中、人材を育成することが課題。コミュニケーション、決断、企画領域の能力をどんどん高めていかないといけない。目指す姿は人的資本経営。AIをやり始めて、特に感じる。社員の幸福度を高めるための働く環境、やりがいを提供し続けないといけない。各フロアも手狭になり、リニューアルも検討している」

  メモ 1970年に苫小牧市や苫小牧商工会議所などの出資で「苫小牧電子計算センター」として設立し、2005年に現在の社名に変更。IT関連業として地域社会の発展に貢献している。

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