厚真町浜厚真地区と苫小牧市にDaigasガスアンドパワーソリューション(大阪市)が建設を計画している風力発電施設について、町は最大10基の風車のうち東側5基の配置を撤回し、残りも最寄りの住宅から2キロ程度の距離を確保するよう求める意見書を20日付で道知事に提出した。宮坂尚市朗町長が24日、町役場で報道関係者に説明し、「計画段階で住民の不安が払拭されず、予防的立場から計画の変更を求めた」と述べた。
宮坂町長は「東側のエリアについては、生態系への影響が懸念され、畜産や酪農への影響も払拭できない」として、厚真川左岸の風車5基の配置撤回を求めた。
意見書は、再生可能エネルギー導入の必要性に理解を示しながらも、「自然環境や健康的に暮らす生活環境と調和が取れていることが前提で、地域との共生が図られるものでなくてはならない」と強調。指摘事項が改善されない限り、「現行事業計画については容認できない」と明記している。
騒音(低周波含む)や超低周波音についても「健康被害の発生が懸念される。先進地の事例や専門家の意見などから個人差が大きく、予防的観点から住宅から約2キロの距離の確保を求める」とした。
宮坂町長は「国がどこまでわれわれの意見をくんでくれるかは未知数」とした上で、「もう少し健康被害について十分に調査研究した上で指針を出してほしい。そうすると住民と事業者のあつれきが生じない。国が地域任せにせず、行動することを願う」と語った。
同社の苫東厚真風力発電事業計画によると、最大出力は3万4390キロワットと想定。2026年3月着工、28年4月運転開始を予定している。道は厚真町とむかわ町、苫小牧市から意見を聴き、2月の環境影響評価審議会の資料とする。知事は同審議会の答申を経て、3月に経済産業相宛てに意見を提出する方針。