東京・浅草で旅館を経営していた夫婦が自動車用不凍液「エチレングリコール」を飲ませ、次女と夫の姉を殺害したとされる事件で、同様の手口で夫の父親も殺害したとして、警視庁浅草署捜査本部は25日、殺人容疑で、細谷健一(43)、妻志保(38)両容疑者=いずれも殺人罪で起訴=を再逮捕する。
捜査本部は2月に次女、3月に夫の姉に対する殺人容疑で両容疑者を逮捕。捜査の結果、病死とみられていた父親も、不凍液を飲まされた可能性が高いと判断した。
捜査関係者によると、両容疑者は健一容疑者の父、勇さん=当時(73)=にエチレングリコールを摂取させ、2018年6月5日に殺害した疑いが持たれている。
登記簿などによると、勇さんは自身が設立した革製品の販売・加工会社「ホソヤ産業」で死亡直前まで社長を務め、旅館経営なども手掛けていた。同社役員だった健一容疑者は勇さんの死亡直前に同社を継ぎ、その後自宅マンションなども相続した。
両容疑者は3人の子どもと暮らしていたが、23年3月に保育園児の次女美輝ちゃん=当時(4)=が死亡。体内からエチレングリコールや統合失調症の治療薬が検出され、警視庁は今年2月、殺人容疑で両容疑者を逮捕した。
その後、18年4月に死亡した健一容疑者の姉美奈子さん=当時(41)=の腎臓からもエチレングリコールに由来する成分が検出されたことが判明。旅館の経営権を巡る対立で殺害したとみて、同容疑で再逮捕した。
健一容疑者の母八重子さん=当時(68)=も同年1月に死亡しており、捜査本部は経緯を調べる。
東京地検は半年間の鑑定留置を経て今年9月、両容疑者を美奈子さん殺害の罪で起訴。美輝ちゃん殺害についても捜査を継続している。